食物繊維とは?第6の栄養素として注目される働きや摂取量、摂り入れるコツを解説!

食物繊維とは?第6の栄養素として注目される働きや摂取量、摂り入れるコツを解説!
  • 体に良いと聞く食物繊維にはどんな働きがある?
  • 食物繊維を意識して摂っていても、なかなかスッキリしない
  • 食物繊維はどんな食べ物に含まれているのか知りたい!

食物繊維が健康に良いと聞いても、具体的な働きや上手な摂り方がわからず悩んでいませんか?食物繊維は五大栄養素に続く第6の栄養素として注目される栄養素です。一方で、現代の食生活では、多くの人が食物繊維を十分に摂取できていません。

この記事では食物繊維の基礎知識や働き、摂り方の工夫をわかりやすく解説します。記事を読めば食物繊維の理解が深まり、毎日の食事で無理なく摂取量を増やすコツがわかります。

食物繊維は胃を通って直接腸に届く栄養素です。水溶性と不溶性の2種類があり、1:2の割合で摂取することが理想とされています。食物繊維を上手に摂り入れ、健康維持に役立てましょう。

食物繊維とは吸収されずに大腸まで届く栄養素

透明な人体の大腸模型の中に、植物の繊維のようなものが入っている。消化されずに腸を通過する過程のイメージ。

食物繊維は人の体では消化・吸収されにくい食べ物に含まれる栄養素です。胃を通ってそのまま大腸まで届きます。

食物繊維はスッキリとした毎日や健康的な食生活をサポートする重要な役割を担っています。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」にも食物繊維の摂取について記載されていて、食生活を考える上で意識したい栄養素です。食物繊維の特徴を紹介します。

食物繊維は2種類ある

食物繊維には大きく分けて水に溶ける「水溶性食物繊維」と水に溶けない「不溶性食物繊維」の2種類があります。代表的な成分と多く含まれる食材は以下のとおりです。

水溶性食物繊維の主な種類と多く含まれる食材

水溶性食物繊維の主な種類多く含まれる食材
ペクチンレモン、オレンジなどの柑橘類、りんごの皮、いちご、バナナなどの果物
アルギン酸ワカメなどの海藻類

不溶性食物繊維の主な種類と多く含まれる食材

不溶性食物繊維の主な種類多く含まれる食材
セルロースごぼうなどの根菜類、大豆などの豆類、きのこ類、穀物類
リグニン小麦のふすま穀類、ごぼうなどの根菜類、大豆などの豆類

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維はそれぞれに特徴と働きを持ち、体のなかで別の役割を担っています。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の違いがわかると、より効率良く食物繊維を摂取できます。

水溶性食物繊維の特徴

水溶性食物繊維は水に溶ける性質を持ち、体内でゲル状に変化します。温度に影響を受けにくい種類が多いため、加熱調理をしても損なわれにくい栄養素です。身近な食材では海藻類や果物に多く含まれています。ペクチン・アルギン酸など、同じ水溶性食物繊維でも種類によって、粘度や風味が異なります。

不溶性食物繊維の特徴

不溶性食物繊維は水に溶けづらく水分を含みやすい性質を持っています。糸のようなかたい繊維を持つ種類が多く、調理の方法に関わらず形状が損なわれにくい点が特徴です。不溶性食物繊維は根菜類や穀類など、噛みごたえがあり食事の満足感につながりやすい食材に多く含まれます。キノコ類に多い不溶性食物繊維もあるため、食材の種類によって硬さや食感に違いがあります。
» 厚生労働省-eヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」(外部サイト)
» 厚生労働省-eヘルスネット「食物繊維」(外部サイト)

食物繊維の働き

食物繊維は体内をめぐり、健康をサポートする栄養素です。食物繊維の詳しい働きを解説します。

水溶性食物繊維の働き

水溶性食物繊維の働きは以下のとおりです。

  • 水分を含んでゲル状に変化する
  • ネバネバした性質で腸を通過する
  • 善玉菌のエサになる

水溶性食物繊維は水分を含んでゲル状に変わります。ゲル状になった食物繊維はネバネバした性質を持つ点が特徴です。粘度のある成分で内容物を包み込み、ネバネバした状態のまま通過する水溶性食物繊維の動きが、毎日のスッキリとした習慣をサポートします。

水溶性食物繊維は善玉菌のエサになる点も特徴の一つです。善玉菌は水溶性食物繊維を分解することで活発に動き出し、善玉菌が活動しやすい弱酸性の環境づくりをサポートします。悪玉菌が酸性に弱い特徴を持つため、善玉菌にとって有利な状態が保たれやすくなります。

不溶性食物繊維の働き

食物繊維が豊富な食品であるごぼう、しいたけ、えのき、玄米。お通じを整える不溶性食物繊維を多く含む食材。

不溶性食物繊維の主な働きは以下のとおりです。

  • 繊維質で食べ応えがある
  • 水分を含みながら腸に届く
  • 消化されずにそのまま腸を通過する

不溶性食物繊維は水に溶けにくい性質を持つ食物繊維の一種です。体内で水分を吸収してスポンジのように膨らむ特徴があります。水分を含んで膨らんだ不溶性食物繊維は、規則正しい毎日の習慣づくりをサポートする栄養素です。

不溶性食物繊維は繊維質の形を持つ特徴から、噛みごたえがある食材に多く含まれています。体内で消化・吸収されないため、カロリーはほとんどありません。噛みごたえがある食材を多く含んだ食事は、少ない量でも食事の満足感を得やすくなります。

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は1:2のバランスが理想的

水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の摂取は、1:2のバランスが理想的とされています。令和5年国民健康・栄養調査からわかる食物繊維の摂取比率は以下のとおりです。

対象水溶性食物繊維不溶性食物繊維比率
成人男性3.3g10.2〜11.1g約1:3
成人女性2.9〜3.3g9.0〜10.4g約1:3

成人男女の食物繊維の摂取比率は、不溶性食物繊維に大きく偏っています。食物繊維を理想的なバランスで摂り入れるためには、特に水溶性食物繊維を意識した食事が必要です。

果物、海藻類、豆類などを日々の食生活に追加することで、両方の食物繊維をバランス良く摂取できます。
» 厚生労働省「令和5年国民健康・栄養調査結果の概要」(外部サイト)

1日に摂りたい食物繊維は25g以上

厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」による1日の食物繊維の目標量と基準量は以下のとおりです。

区分目標量基準量
成人男性25〜29g20g以上
成人女性25〜29g18g以上

食物繊維の摂取量の目安は、目標量と基準量の2つの基準があります。目標量はより健康を維持する理想的な量、基準量は健やかさを保つために最低限摂りたい量として考えましょう。日々の健康を保つために必要な1日の食物繊維の目標量は25〜29gです。

食物繊維の目標量は年齢や性別によっても変わります。食物繊維の基準量は成人男性で20g以上、成人女性で18g以上です。

食物繊維は摂りすぎても健康に大きな影響はない

食物繊維は1日の目標量である25〜29gより多く摂取しても健康に大きな影響はありません。体内で消化・吸収されないため、食物繊維の過剰摂取による健康被害のリスクは低いとされています。

ただし食物繊維を一度に大量に摂取すると、体質によっては一時的に体調の変化を感じやすい場合があります。食物繊維は朝・昼・晩の食事のなかで、バランスを意識してこまめに摂り入れましょう。
» 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)の策定ポイント」(外部サイト)

不足している食物繊維は1日当たり5〜8g

食物繊維不足の原因となるコンビニ弁当やカップ麺の食事。炭水化物と脂質に偏り、野菜が少ない食生活の例。

現在、成人が実際に摂取している食物繊維の摂取量の中央値は1日当たり13.3gです。食物繊維の基準量である18〜20gからは男女ともに5〜8g程度不足していることがわかっています。食物繊維が不足している原因として考えられる理由は以下のとおりです。

  • 食生活の欧米化
  • 外食・加工食品中心の食事

食生活の欧米化

食物繊維が不足している背景には、食生活の欧米化による食事内容の変化があります。もともと日本人の食生活は食物繊維が豊富な穀類、いも類、豆類が中心でした。1950年頃には1人当たりの食物繊維の摂取量は1日20gを超えています。

近年は、食の欧米化により肉や乳製品を摂る機会が増え、野菜や豆類を摂る量が少なくなりました。現代の食生活では食物繊維を意識した食事の工夫が必要です。
» 厚生労働省 食物繊維の必要性と健康

外食・加工食品中心の食事

外食や加工食品を利用する機会が増えたことも、食物繊維不足の原因の一つです。外食や加工食品は手軽に食事が摂れる一方で、野菜や豆類、海藻類など、食物繊維を多く含む食材の使用が少なくなります。

忙しい日常の中で外食やコンビニ食が増えると、主食や主菜が中心となり副菜の量が不足しがちです。外食ではサラダや小鉢を追加して食物繊維を補いましょう。
» 青汁は野菜不足解消の味方?メリットや飲み方を徹底解説

食物繊維を多く含む食べ物

食物繊維の種類(水溶性・不溶性)をバランスよく含む食品群。全粒粉、豆類、ブロッコリー、海藻などの代表例。

食物繊維が多く含まれる代表的な食べ物と、水溶性食物繊維・不溶性食物繊維のバランスは以下のとおりです。

食べ物のグループ食べ物の例と食物繊維量(100g当たり)水溶性・不溶性のバランス
主食類押麦(七分づき):10.3g
ライ麦パン:5.6g
胚芽米:4.5g
玄米:3.0g
そば(ゆで):2.0g
全粒小麦パン:1.3g
不溶性食物繊維が多い
いも類さといも(水煮):2.4g
さつまいも(蒸し):皮つき3.8g
さつまいも(蒸し):皮なし2.3g
じゃがいも(蒸し):皮なし1.7g
長いも(水煮):1.4g
不溶性食物繊維の多い、さといもや長いもは水溶性食物繊維も含む
野菜ごぼう(ゆで):6.1g
ブロッコリー(ゆで):4.3g
かぼちゃ(ゆで):3.6g
モロヘイヤ(ゆで):3.5g
たけのこ(ゆで):3.3g
切り干し大根(煮物):2.0g
不溶性食物繊維が多い
豆類おから(乾燥):43.6g
いんげん豆(ゆで):13.6g
あずき(ゆで):12.1g
糸引き納豆:6.7g
水溶性食物繊維・不溶性食物繊維両方をバランス良く含む
きのこ類きくらげ(乾燥):57.4g
干ししいたけ:46.7g
えのき(ゆで):4.5g
ぶなしめじ(ゆで):4.1g
不溶性食物繊維が多い
海藻類粉寒天:79.0g
わかめ(乾燥):31.7g
昆布(乾燥):27.1g
干しひじき(ゆで):3.7g
しらたき:2.9g
水溶性食物繊維が多い
果物バナナ:4.2g
りんご:1.5g
みかん:1.0g
水溶性食物繊維が多い

食物繊維は、穀類・豆類・野菜・きのこ類・海藻類・果物など、幅広い食べ物に含まれています。穀類や豆類、きのこ類には不溶性食物繊維が多く、海藻類や果物には水溶性食物繊維が豊富です。

切り干し大根・干ししいたけ・ひじきなどの乾物は、少ない量でもたくさんの食物繊維が含まれています。バランスの良い食物繊維の組み合わせが、健康的な食生活を送るためのポイントです。
» 文部科学省「成分データベース」(外部サイト)
» 青汁に含まれる食物繊維の量や種類について解説

食物繊維の摂取量を増やす3つのコツ

食物繊維は毎日の食事の工夫により無理なく増やせます。食物繊維を摂り入れる3つの工夫は以下のとおりです。

  • 主食を玄米や麦ごはんに置き換える
  • スープや味噌汁に野菜や海藻をつけ足す
  • 乾物を上手に活用する

主食を玄米や麦ごはんに置き換える

主食を玄米や麦ごはんに置き換えると、無理なく食物繊維の摂取量が増やせます。玄米は白米の約6倍、麦ごはんは白米の約3倍の食物繊維が摂取可能です。

玄米や麦ごはんは食物繊維だけでなく、ビタミンやミネラルも豊富に含まれる点が特徴です。白米と比べて玄米は噛み応えがあるため、よく噛んで食べると食事の満足感を得やすくなります。

スープや味噌汁に野菜や海藻をつけ足す

食物繊維を効率よく摂取できる具沢山の味噌汁。わかめ、大根、豆腐など水溶性・不溶性の両方を含むメニュー。

スープや味噌汁に野菜や海藻をつけ足すと、手軽に食物繊維の摂取量を増やせます。食物繊維は熱に強く、加熱の影響を受けにくいと考えられる栄養素です。スープや味噌汁なら、溶け出した成分も汁ごと摂り入れられるメリットがあります。

味噌汁にわかめやきのこを足したり、スープに豆や根菜を入れたりするだけで、無理なく食物繊維を補えます。日々の献立にも追加しやすいメニューです。

乾物を上手に活用する

切り干し大根、ひじき、干ししいたけなどの乾物は、少量でも食物繊維が豊富です。乾物は保存性が高く、料理の手間もありません。

切り干し大根やひじきは煮物やサラダ、和え物など、水に戻すだけで多くの料理に活用できます。常備しておくと、忙しい日でも食物繊維が摂り入れやすいため便利です。

食事だけで食物繊維を補いきれない場合は、サプリメントや栄養補助食品も選択肢の一つとして活用できます。パッケージに記載されている目安量を参考に摂取してください。

食物繊維を意識して健康に心がけよう

食物繊維で腸内環境を整え、スッキリとした朝を迎えるイメージ。健康的な体づくりと清々しいライフスタイル。

食物繊維は第6の栄養素と言われるほど、健康的な生活を送る上で重要な役割を担っています。食物繊維には水溶性と不溶性の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。食物繊維の主な特徴は以下のとおりです。

  • 食物繊維は消化されず腸まで届く
  • 腸内で善玉菌のエサになる
  • ゲル状になって食べ物の流れをゆるやかにする
  • 水分を含んでふくらみ、食事の満足感を高める

日本人のほとんどは食物繊維の摂取量が不足しがちです。毎日の食事を工夫して意識的に摂り入れる必要があります。

主食を食物繊維の多い玄米などに置き換えたり、スープや味噌汁に具材をつけ足したりすると摂取量を増やせます。食事の工夫が難しい場合は、サプリメントなどの活用も選択肢の一つです。1日の食物繊維を多く摂るためには、現在の食生活に合った工夫をプラスしましょう。